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2008年4月

年俸制に関する裁判例

【中山書店事件・東京地裁平成19年3月26日判決・労新2654、労経速1975】
○社員の同意なく年俸を減額したことについて、過去に合意した年俸との差額が請求され
 た事案
○もともと同意なく年俸額を減額しうる制度として設計され、その旨説明のうえで導入され
 たこと、過去複数の社員で減額された例があったがトラブルになっていないこと、原告自
 身も減額されて合意していたことがあったこと等の事情を認定した上で、同意なくして
 減額しうると判断された。
○制度設計、その説明と同意に関する事例判例。
○あとは裁量権の逸脱といえるかどうかだけが争点となる。

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定年後雇用延長に関する裁判例

【クリスタル観光バス(雇用延長)事件・大阪高裁平成18年12月28日判決・労新2652】
○60歳以降の雇用延長がなされなかったことについて、解雇権濫用法理の類推適用に
 よって雇用延長の非承認は無効とし、雇用延長に係る雇用契約が成立したものとした
○雇用延長に関する協定書が存し、1審は原告の勤務成績不良を認定して協定の要件を
 満たさないとし、延長しないことは適法とした。高裁は過去非違行為のあった他の従業員
 も雇用延長されていることとの均衡を重視したものと思われる。
●65歳までの継続雇用制度を設定している会社は多いが、その基準の運用の平等性の
 重要性、そして1度甘く運用すると後々不利になることを再認識させられる判例である。
 再度のチェックが必要であろう。
○高年齢者雇用安定法に関する一般的情報は以下のとおり
 (厚生労働省 制度紹介 職業安定局)
 http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/kourei2/index.htm

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派遣労働者の雇止めに関する裁判例

【伊予銀行・いよぎんスタッフサービス事件・高松高裁平成18年5月18日・労判921-33】
○13年継続して派遣した派遣労働者の契約更新を拒絶した事案。
 雇止めの可否、派遣先の労働契約の存否が主たる争点
○雇止めの可否という点については、
 1 常用代替防止という派遣法の趣旨からして継続雇用の期待は強くない
 2 登録型派遣なので派遣契約が終了すれば労働契約も終了する
 という2点から、雇止めの合理的理由を認めた。
○上記1番については、特定の派遣先への派遣の継続が期待できないとしても、派遣元と
 の間での契約の継続について期待権があるのではないか、という批判がある。
○上記2番については、本件は登録型だが雇用が安定している(1年を超えて常時雇用す
 る見込みがある)から、一般労働者派遣事業の許可がなくても、特定派遣の届出のみで
 適法としている。すなわち、常時雇用の事案であることを前提としているのであり、だとす
 れば登録型であることを理由として期待権を否定するのは矛盾である、という批判があ
 る。
 (以上の批判については、日本労働研究雑誌569-24
○なお、雇止めを認めつつ、支店長の行為について不法行為を認定し、慰謝料1万円を
 認定している(原審との差異)。
○なお、派遣先との労働契約の存在は否定されている。
●派遣会社が登録型派遣社員を雇い止めする際には有利な判例である。
○一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業に関する詳細は以下のとおり
 (厚生労働省ー制度紹介ー職業安定局)
 http://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/manual/dl/2.pdf

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育児休業終了後の短時間勤務制

【育児介護休業法23条、24条・労新2672】
○強制義務=23条後段
 育児休業から復帰、又は育児休業しない労働者にとって、子どもが3歳に達するまでは
 子どもの養育に特に手がかかるため、勤務時間短縮等の措置を講ずる義務がある。
○努力義務=24条
 3歳から小学校就学の始期に達するまでは、努力義務。
 趣旨や措置の内容は上記と同じ。
○育児介護休業法の全体像は下記のとおり(厚生労働省・雇用均等)
 http://www.mhlw.go.jp/general/seido/koyou/ryouritu/aramashi.html

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一般女性の就業制限

【労基法63条の3第2項】
○一般女性の就業制限は、妊産婦の就業制限規定を準用している
○詳細は女性労働基準規則2条で24種類列挙
 禁止業務、申し出た場合は禁止の業務、妊娠等の事実がなければ就労させても良い業
 務の3種類の分かれる。
○参考
 妊産婦の保護規定の一覧については、以下を参照
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/seisaku05/01.html (厚生労働省・雇用均等)

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女性差別関係裁判例

【昭和シェル石油(賃金差別)事件・東京高裁平成19年6月28日・労新2674】
○事案
 女性の賃金差別の事案
○均等法の努力義務規定に反する場合でも不法行為が成立したと判断した
○コメント
 均等法以前及び努力規定時代(平成11年4月1日以前)の女性の賃金差別は違法では
 ないという理解が一般であり(野村證券事件・東京地裁平成14年2月20日)、それと
 異なる点で興味深い。
 差別を積極的に維持し、拡大するような措置をとれば、努力義務であっても違法という
 ことか。
○なお、是正措置としてのポジティブアクションをとることは均等法上の義務ではないが、
 この点も違法とされる可能性がある(兼松事件・東京高裁平成20年1月31日)。

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労働条件の明示

【労基法15条、パート労働法・労新2674】
○労基法15条では書面等(ファックス・メール含む)による労働条件の通知義務が定め
 られているが、パート労働法ではそれに加えて昇給の有無、退職手当の有無、賞与の
 有無も明示義務に追加されている。
○新規雇用のみならず、契約更新の際にも適用される
○参考
 パート労働法については下記参照(厚生労働省・雇用均等)
 http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1.html

 

 

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健康保険の傷病手当金

【健康保険法の改正(傷病手当金)・労新2675】
○平成19年4月あら、傷病手当金は「標準報酬日額の100分の60」から「日額の
 3分の2に相当する額」に引き上げられた。
http://www.sia.go.jp/seido/iryo/kyufu/kyufu07.htm (社会保険庁)
○支給を始めた日から1年6ヶ月で打ち切り
○会社が賃金を支払えば、その分がそのまま傷病手当金から減額される。


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休業手当の算定

【昭和23年8月11日基収第2934号・労新2676】
○労基法26条に基づく休業手当に関して、直前の賃金締切日以前の3ヶ月に支払われた
 賃金をその期間を暦日数で叙して算出(労基法12条2項)。
○賃金の遅払い等ある場合には未払額も含めて算出
 (債権として)確定した賃金を用いるので、未だ金額未確定(賃上げ交渉中等)は
 それを含めて算出する必要はない。

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管理監督者のメンタルヘルス

【平成18年2月24日基発0224003号・労新2673】
○管理監督者も労働安全衛生法66条の8の保護対象に含まれ、管理監督者自らが、
  1月当たり100時間を越える時間外があり、かつ、疲労の蓄積が認められると判断し
  申し出があった場合には、面接を実施する」義務が発生する。

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労組法関係裁判例

【都市開発エキスパート事件・横浜地裁平成19年9月27日・労新2673】
○事案
 出向社員に関して労働協約の一般的拘束力の適用が問題となった事案
労組法17条「一の工場事業場」は出向先か出向元かが問題となった。本件の場合は
 賃金が問題となっており、出向先特有の事情を考慮する必要がなく、出向元で統一的な
 労働条件を適用する必要性が高いこと等を理由として、出向元本社をもって「一の工場
 事業場」と判断された。
○コメント
 労組法17条「一の工場事業場」については、労使間の利害調整が十分に図られるとい
 えるか否かという観点から個別に判断するほかない。
 業種や問題となっている労働条件によっては、「工場事業場」は「企業全体」であると解
 される場合もあり(第四銀行事件・新潟地裁昭和63年6月6日)、逆に、当該工場事業
 場に特有の事情(労働の種類、作業方法、労働環境、地理的特殊性等)があり、他の事
 業場で多数を占めている組合との労働協約によっては、当該事業場の労働者の利害調
 整がはかられないと考えられる場合には、文字通り「工場事業場」で考えるべきである。

 

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労災関係裁判例

【O技術(労災損害賠償)事件・福岡高裁那覇支部平成19年5月17日・労新2672】
○事案
 建築請負工事の孫請会社の従業員が死亡し、遺族が元請業者に対して、安全配慮義
 務違反を理由として損害賠償請求した事案。
○1審(那覇地裁沖縄支部平成18年8月31日)は安全配慮義務違反を否定。
 具体的作業指示をしていたのは孫請の現場代理人であり、元請は図面通り施行するよ
 うに指示していたに過ぎない、というのがその理由。
○本判決は、元請は孫請従業員に対して直接の指揮監督を行っていたことは否定しなが
 ら、孫請の現場代理人を通じて指揮監督していたと認定して、安全配慮義務違反を認め
 た。労災防止の注意指導を直接していたこと、元請の制服を貸与していたこと等の事情
 も安全配慮義務認定の理由としている
○元請が下請の従業員を直接指揮監督していたという事実関係であれば、元請の安全配
 慮義務違反が認められるのは当然である(三菱重工業神戸造船所事件・最高裁平成3
  年4月11日)。結局は、指揮監督関係の有無及びその程度によると思われる。
●建設関係の会社として、下請従業員を直接指揮監督すること、その他直接注意指導等
 を行うことが法的にはリスクあることを認識するべきである。
 なお、労災保険だけで損害賠償は全額カバーされないこともあわせて再認識する必要
 がある。

 

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