不活動時間の労働時間性
【大道工業事件・東京地裁平成20年3月27日・労新2694】
○寄宿舎に寄宿させ、シフト担当日に修理依頼があれば現場に赴いて修理業務に従事す
るという形態の業務。
労働者側は、修理依頼のない場合であっても、シフト担当日は不活動時間を含めてその
全体が労働時間であると主張し、サービス残業代等を請求した事案。
○シフト担当日は、修理依頼があれば現場に赴くことが義務づけられているが、
1 修理依頼の程度は1日1回以下
2 修理依頼がある場合でも実稼動時間は5時間以内となる日が多い
3 不活動時間においては、自室でテレビを観賞したり、パソコンに興じたりしており、
外出には特段の規制もなく、食事・入浴などの日常活動を行っていた。
従って、指揮命令下に置かれているとは評価できないとして労働時間性を否定した。
○大星ビル管理事件以降、何かあれば対応しなければならない以上、不活動時間全て
が労働時間であるかの如き誤解が広まっており、そのように主張する労働者・労働組合
も多い。
○しかし、指揮命令下にあるか否かは、実作業に従事する頻度、業務自体の負担の重
さ、契約上の義務付けの強さ、場所的拘束性、自由度等のファクターの総合考慮によっ
て判断されるものであって、手待ち時間(労働時間)と呼び出し待機(非労働時間)の
区別は程度問題であろうと思われる。
義務付けがなければ労働時間でなく、義務付けがあっても頻度が少ない等の事情があ
れば、労働時間性が否定される。
○新日本管財は義務づけがないとして、そして互光建物管理は義務付けはあるが、
頻度が少ない等の事情で、労働時間性が否定されている。
大林ファシリティーズ事件(最高裁)は、マニュアルで時間外においても住民対応
すべきことが記載されており、一般的指示のあった事案であり、義務付けが濃い
事案であるという特殊性があるので、会社側が敗訴したと整理ができると
思われる(経営法曹57号ー15参照)。
●ビル管理、警備、夜間の電話番等労働密度は低いが拘束時間の長い業務の存する
会社の場合は、全てが労働時間と認定されると莫大な未払賃金が発生する。労働時間
と認定されないような対策が必要である。
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