グループ企業への転籍と労働条件の不利益変更
【N社事件・大阪地裁平成20年9月26日判決・労経速2021-3】
○グループ内不採算部門の経営改善のため組織を再編成する中で、N社が系列の下請け
であるY運輸の従業員をN社に転籍させた事案。
転籍後の4ヶ月後から従前の賃金より下がったため、従業員が従前賃金との差額の支
払いを求めてN社を訴えた事案。
○原告は、転籍する際、Y運輸での賃金を保証するとの約定があったと主張。
○裁判所は保証の約定を認めている。事実認定上のプラスマイナスファクターは次のと
おり。
×「保証する」との原告の主張については抽象的なレベルに留まり、
具体的な計算方法 等の合意があったとは原告自身も主張していない。
×解雇か移籍かの2者択一を迫られる状況であった
×転籍によって、充実した福利厚生制度が利用でき、健康保険料の本人負担が少なく
なるというメリットがあった
×転籍後の労働条件については契約書が存する
○賃金の低下、更に一時金の金額が不確定となることが見込まれる移籍後の賃金体
系について従業員や組合は何ら抵抗・抗議・交渉の形跡がないのは格別の理由が
あったとしか考えられない
○事例判例であり、裁判所の認定も非常に荒いが、転籍の際の説明内容の明確さとの
重要性を再認識させられる事案である。
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