« 2009年1月 | トップページ | 2010年10月 »

2009年12月

業務委託場合の委託先事業主との団体交渉応諾義務

【国・中労委(ビクターサービスエンジニアリング)事件・東京地裁平成21
 年8月6日・労新2756】
○音響製品等の修理業務に従事する個人営業の代行店主らが労働
 組合を結成して、代行店の待遇改善について団体交渉を申し入れて
 きた事案
○労働委員会は団体交渉応諾義務を認めたが、裁判所はこれを否
 定。経営側に有利な裁判例として活用できる。 
○労組法上の労働者性の有無という古典的な争点である。
 1 委託料は最低保障のない出来高払方式であること
 2 代行店は他社からの受託に制限がないこと
 3 他の代行店に再委託することも可能であったこと(受注した修理
   業務を必ずしも自ら行う必要はない)
 などが重視されたと考えられる。
(23年追記)
○INAXメンテナンス事件(最高裁平成23年4月12日・労経速2105)
 財団法人新国立劇場運営財団事件(同上)
 →労組法上の労働者性を肯定
 クボタ事件(東京地裁平成23年3月17日・労経速2105)
 →「近い将来において労働契約関係が成立する現実的かつ具体的な可能性が
   存する者も団体労使関係上の一方当事者に該当する」
○最高裁が中労委の菅野教授の見解に引きずられたのは大変遺憾である。

○最高裁は一般論として、労組法上の労働者の定義や判断基準を示すことを
 回避している
○月刊労委労協2010ー7月(山川教授) 下110223
 ア 事業主の組織に組み込まれているか
 イ 契約内容が事業主により一方的に決定されているか
 ウ 報酬が労務供給への対価といえるか
 エ 業務の発注に対し許諾の自由を持たないか
 オ 業務遂行の日時や場所につき拘束を受けているか
 カ 事業主に専属的に労務供給しているか
 キ 独立の事業主としての性格を有するか
 アイ:労組法独自であり中心的判断要素
 ウ:中心的判断要素ではあるが労基法上の賃金該当性の判断要素とは異なる
 エオ:不可欠ではない(労基法上のファクター)
 カ:イの補完要素
 キ:労働者性を弱める補完的要素

 

 

|

子会社解散と親会社の雇用責任

【ワイケーサービス(九州定温輸送)・福岡地裁小倉支部・平成21年6月11日・労判989
 ー20】
○子会社解散して全従業員を解雇した場合において親会社の雇用責任を否定した事例
○法人格否認の法理により、解散した子会社の従業員が親会社に対し雇用関係の存在
 を主張することが認められるためには、子会社の法人格が全く形がい化しているか、ま
 たは濫用が明白であることを要するとの判断部分が重要である。
○子会社の整理局面において、労働組合などは親会社の雇用責任を主張してくるが、
 法理論的には原則として親会社に雇用責任はない。
 この点は当職が各種講演で繰り返し力説している点である。
 http://www.roudou-kk.co.jp/meeting/archives/03reikaikansai/003960.html
 その考え方を裏付ける裁判例であって、使用者側に有利である。
○親会社の雇用責任を認めた第一交通産業(大阪高裁平成19年10月26日)は、「濫
 用が明白な場合」に該当するという整理で良い。

|

« 2009年1月 | トップページ | 2010年10月 »