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退職後の競業行為と退職金の不支給

【東京コムウェル事件・東京地裁平成22年3月26日・労経2073】
○競業会社の代表取締役に就任した元従業員の退職金請求は理由
 がないとした例
○同種の事案は多く、事例によって結論は分かれるが、本件は経営
 側に有利な事例判例として使える
○本件では以下のような事実が認定されている 
 ・退職後の競業避止義務違反等の場合を退職金不支給とする退職
  金規程の存在
 ・問題となっている競業会社は本件被告会社の元従業員を中心に
  構成されており、顧客の引き抜き等をめぐってトラブルとなることが
  あった(被告会社と競業会社は元々敵対関係にあった)
 ・原告は、退職後4ヶ月後に競業会社に就職し、退職後6ヶ月も
  経ずして代表取締役に就任
 ・原告は被告会社の支店長等を歴任し、前記退職金規程の存在や
  競業会社との敵対関係を十分に認識していた
 ・退職後真摯に求職活動を行ったとはいえない
 ・退職金の金額1500万円
○背信性は高く、退職金不支給は当然と思われる

(参考判例)
【東京コムウェル事件・東京地裁平成20年3月28日判決
 ・労経速2015-31】
○退職後6ヶ月間の競業避止義務(就業規則及び退職時の誓約書
 によるもの)に違反して退職後4ヶ月後に同業他社に就職した元従
 業員に対する、退職金全額不支給の効力が争われた事案
○退職金不支給条項には該当するが、業務中知り合った顧客に連
 絡したのは1名のみであるし、会社の利益や信用を損なう言動もな
 いので、退職金不支給は許されないと判断された事例
●懲戒解雇の際の退職金の全額不支給の有効性と同一の論点で
 あり、事例判断である。事案によっては不支給が許される場合もあ
 るのは当然である。
●参考
 1 競業避止と退職金不支給に関しては、ある程度具体的にかつ
   
限定的に規定した方が実効性が確保できるのではないか
   (例 同業他社に就職してかつ、担当顧客を引き抜く行為を行う
      場合は、全額不支給にする)
 2 競業避止義務の設定については、就業規則の周知、不利益変
   更等の論点も生じることに留意が必要。
   なお、本件の場合、不利益変更については合理性が認められて
   いる。

 

 

 

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