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会社分割と労働契約承継に関する最高裁判決

【日本アイ・ビー・エム事件・最高裁平成22年7月12日判決】
赤字=22年10月22日追記(下101021)
○分割無効の訴えの提訴権がない場合でも労働契約関係承継の
 効果を争い得る

○5条協議(商法等改正法附則5条1項)と7条措置(労働契約承継法
 7条)が不十分であるとして、労働契約承継の効力が争われた事案
○5条協議(個別協議)について
 「5条協議が全く行われなかったとき」及び「説明や協議の内容が
 著しく不十分であるため、法が5条協議を求めた趣旨に反することが
 明らかな場合」には労働契約承継の効力を争うことができる
 (無効になるとは判断していないし、会社分割の効力についても
  判断していない)
○7条協議(労働者全体の理解と協力を得る努力)について
 努力義務であって、これに違反したこと自体は労働契約承継の
 効力を左右しない(5条義務違反の有無を判断する一事情に過ぎ
 ない)

○7条措置や5条協議が法の求める趣旨を満たすか否かを判断
 するに当たっては、それが「指針」に沿って行われたものか否か
 も十分に考慮されるべき

○5条協議についての事実認定
 ・新設会社の経営見通しについて具体的な数値を回答しなかった
  こと(「経営の機密事項であるから答えられないが、現状では同業
  他社と同様にHDD事業部門の売上は低迷しているものの合併
  の強みを生かすことでメリットが得られる」という趣旨を説明)

  新設会社の将来の労働条件については新会社が判断する
  ことと回答したことは(問題ない)
 ・在籍出向の要求に応じなかったのも、相応の理由がある
 ・説明や協議の内容が著しく不十分であるため、法が5条協議を
  求めた趣旨に反することが明らかであるとはいえない
●当然の結論と思われるが、この分野はじめての最高裁ということで
 重要である。
●(参考)
 会社分割は包括承継であるので、会社分割後の労働条件変更は
 5条協議の対象にはならないのが大原則。ただし、新設会社に
 おいて賃金引下げがなされることが予め予定されていた
 ような例外的な事案においては、説明の対象となると述べる裁判
 例もある(EMIミュージック・ジャパン事件)。
 そのような事案においては説明するか(別に同意を得る必要はない
 のであるから、説明するデメリットはあまり無い)、あるいは不採算
 部門を残して採算部門を新設会社に移転するというスキームをと
 る(そうすれば不採算部門に残る従業員への説明義務は生じない)
 ことも一案と思われる。

●(参考)
 承継法を使う場合、異議権についての説明が不十分で異議を述べ
 る機会を逸したと言われないように留意しておく必要がある

 

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