採用 

入社時の会社からの給付金と返還請求

【東亜交通事件・大阪高裁平成22年4月22日・労1008-15】
○タクシー会社が入社した乗務員に対して
  1 2種免許のための教習所の授業料(21万5250円)
  2 大阪でタクシー運転をするのに必要な研修費用12万円
  3 就職支度金20万円
 を給付して、合計53万5250円を消費貸借契約とし、800日の乗務
 日数を満たせば返済義務を免除するとしていた事案
○裁判所は1は元々従業員が負担すべき費用として有効、
 2,3は賃金的性格を有するとして無効と判断しているが、これは
 本件について、
 ・2,3についての求人広告の内容が誤解を生じさせる内容であった
 ・面談時の説明も不足
 ・金銭消費貸借契約書に内訳の記載もなかったこと
 等の事情があったが故の事例判断であり(信義則違反で判断して
 いる)、一般論として2,3を無効と判断したものではない。
○タクシー乗務員の2種免許費用の返還条項が労基法16条に違反
 しないと判断したコンドル馬込交通事件も参考となる。

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中途採用者の内定取り消し

【インフォミックス事件・東京地裁平成9年10月31日・労判726-37】
○ヘッドハンティングによりスカウトした労働者の内定取り消しの有効性判断において
 整理解雇の枠組みを用いて無効と判断された例
○入社2週間前になって事業計画の見直しがあり、配属を予定していた部門自体が存続
 しなくなったため、
 1 職種変更
 2 基本給3ヶ月分の補償による入社辞退
 3 試用期間(3ヶ月)後の退社
 のいずれかを選択して欲しいと呈示したが、拒否したため、内定を取り消した。
○争点1
 職種変更命令拒否を理由とする内定取り消し
 入社前でも会社は人事権に基づき職種を変更する権限を有するが、本件では単に
 条件提示したに過ぎず、職種を確定的に変更する意思があったとは認められない
 と判断されている。
○争点2
 整理解雇の法理に照らしてみた場合、人員削減の必要性、回避努力(希望退職・
 補償の申し出・職種変更の打診をしている)・人選の合理性(内定者を選定したことに
 は合理性がある)は認められる
 しかし、自らスカウトしたという事情、既に前職を退職しているという事情も考慮した
 場合、労働者の納得を得られるような十分な説明をしたとはいえず、会社の対応は
 誠実さに欠くとして、内定取り消し無効と判断されている。
●一般的な判例ではないが、内定取り消しの場合は、それなりの回避努力をしたと主張
 できるファクターを揃え、誠意を見せて十分説明する等のプロセスを踏んだ方が安全
 である。

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労働条件の明示

【労基法15条、パート労働法・労新2674】
○労基法15条では書面等(ファックス・メール含む)による労働条件の通知義務が定め
 られているが、パート労働法ではそれに加えて昇給の有無、退職手当の有無、賞与の
 有無も明示義務に追加されている。
○新規雇用のみならず、契約更新の際にも適用される
○参考
 パート労働法については下記参照(厚生労働省・雇用均等)
 http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1.html

 

 

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