上司の注意指導と部下の自殺
【海上自衛隊事件・福岡高裁平成20年8月25日判決・労経速2017-3】
○海上自衛隊員が、上司である班長から行過ぎた注意指導を受けていたとして、護衛艦
乗艦中に自殺した事案。
9月頃から「お前は三曹だろ。三曹らしい仕事をしろよ」「お前は覚えが悪いな」「バカか
お前は。三曹失格だ」などと厳しい注意をしており、11月に自殺している。
○裁判所は、指導の域を超えるものであったとして不法行為を認定した(賠償額損害額
350万円)。
理由1
できるだけ早期に任務に熟練させる必要があったことは認められるが、経験年数に
照らせば技能練度不足があることはある程度やむを得ず、同様の隊員もいるので、
心理的負荷をかけてまで指導を急ぐ緊急の必要性はない
理由2
特に緊急を要しない場面で繰り返し言われたし、個々の行為や技能について言われる
に留まらず、地位階級に言及し、人格的非難を加えたものというほかない。
理由3
厳しい指導を行った後に心情を和らげるような措置もとっていない
○いじめ(典型的なパワハラ)を認定したものではない。
通常の指導が行き過ぎとして違法性が認定したもの。
○理由3については、法律の問題ではなく、通常の人事労務管理の中でも重要なこと
と思われる。
○1審は遺族の請求を棄却している。
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