解雇

店舗閉鎖を理由とするアルバイト店員の整理解雇が有効とされた例

【大隅事件・東京地裁平成23年2月7日・労経速2106】
○店舗閉鎖に伴って当該店舗に勤務するアルバイト店員全員を整理解雇したものである
 ので人選の合理性に問題はないと判断されている(単なる事例判決)
○アルバイトには職場限定の特約が認定されている
 判断ファクターは以下のとおり
 ・アルバイト店員の採用権限は店長にある
 ・労働条件通知書には店舗名が特定されている
 ・異動があるとの記載はない

 

|

子会社解散と親会社の雇用責任

【ワイケーサービス(九州定温輸送)・福岡地裁小倉支部・平成21年6月11日・労判989
 ー20】
○子会社解散して全従業員を解雇した場合において親会社の雇用責任を否定した事例
○法人格否認の法理により、解散した子会社の従業員が親会社に対し雇用関係の存在
 を主張することが認められるためには、子会社の法人格が全く形がい化しているか、ま
 たは濫用が明白であることを要するとの判断部分が重要である。
○子会社の整理局面において、労働組合などは親会社の雇用責任を主張してくるが、
 法理論的には原則として親会社に雇用責任はない。
 この点は当職が各種講演で繰り返し力説している点である。
 http://www.roudou-kk.co.jp/meeting/archives/03reikaikansai/003960.html
 その考え方を裏付ける裁判例であって、使用者側に有利である。
○親会社の雇用責任を認めた第一交通産業(大阪高裁平成19年10月26日)は、「濫
 用が明白な場合」に該当するという整理で良い。

|

中途採用者の内定取り消し

【インフォミックス事件・東京地裁平成9年10月31日・労判726-37】
○ヘッドハンティングによりスカウトした労働者の内定取り消しの有効性判断において
 整理解雇の枠組みを用いて無効と判断された例
○入社2週間前になって事業計画の見直しがあり、配属を予定していた部門自体が存続
 しなくなったため、
 1 職種変更
 2 基本給3ヶ月分の補償による入社辞退
 3 試用期間(3ヶ月)後の退社
 のいずれかを選択して欲しいと呈示したが、拒否したため、内定を取り消した。
○争点1
 職種変更命令拒否を理由とする内定取り消し
 入社前でも会社は人事権に基づき職種を変更する権限を有するが、本件では単に
 条件提示したに過ぎず、職種を確定的に変更する意思があったとは認められない
 と判断されている。
○争点2
 整理解雇の法理に照らしてみた場合、人員削減の必要性、回避努力(希望退職・
 補償の申し出・職種変更の打診をしている)・人選の合理性(内定者を選定したことに
 は合理性がある)は認められる
 しかし、自らスカウトしたという事情、既に前職を退職しているという事情も考慮した
 場合、労働者の納得を得られるような十分な説明をしたとはいえず、会社の対応は
 誠実さに欠くとして、内定取り消し無効と判断されている。
●一般的な判例ではないが、内定取り消しの場合は、それなりの回避努力をしたと主張
 できるファクターを揃え、誠意を見せて十分説明する等のプロセスを踏んだ方が安全
 である。

|

整理解雇でありかつ普通解雇である場合の判断方法

【千年の杜ほか事件・大阪地裁平成19年11月30日判決・労判956-5】
○事案
 業績建て直しのため、同業他社の有能とされる社員を高額報酬で中途採用したが
 思うように実績が上がらず業績が低迷し、事業縮小に伴って解雇した事案。
 単なる事例判例。
○経営悪化とともに、営業成績の不良をも理由として解雇しているので、整理解雇と
 普通解雇が並存している点が興味深い。
 裁判所は、基本的には整理解雇の枠組みに従って判断しつつ、人選の合理性の判断
 において成績が不良だったか否かを検討している。
 同じ論点に関する裁判例として、高島屋工作所事件(大阪地裁平成11年1月29日)、
 PWCファイナンシャル・アドバイザリー・サービス事件(東京地裁平成15年9月25日)
 などがある。前者は総合的に判断し、後者は別々に判断している。
○このほか、もともと経営再建のために敢えて高額で中途採用したという経緯があるとの
 理由で、人員削減の必要性を認めつつ、整理解雇の必要性を否定している点も興味
 深い。

|